前回の個展からの延長・・・。針金少女が見た夢。真っ黒なコンテナショップをすべて使い、ファンタジックで少し毒のある世界を演出。ワイヤー×花×フォトのコラボレーションが、Baumの新たな世界を切り開いた。
大きなウィンドウの前には、針金×花の森が広がります。少女が夢の中でさまよう、幻惑の森。美しくもどこか毒々しく、トカゲやクモが潜んでいる危険な森。
黒い鉄板の壁面には、ステンレスに縁取られた写真。わたしの作品をカメラマンに撮影していただきました。 ワイヤー少女が歩く夢の世界。怪しげで禍々しく、だから美しい。いつか少女は、青空を見る。
バラ農家から仕入れたものは、とてもしっかりと咲いてくれました。 首がへたることもなく、凛と立ち上がり、花弁を誇らしく開く。バラらしい気品あふれる姿を、木立に見立てて。 黒と対比するよう、赤を選びます。手を模したオブジェにはクモが隠れ、優美なバラで少女を誘惑。 それは誘惑なのか、美しいものを護る者なのか・・・。
ライトアップされた店内。普段は、グリーンを扱うショップです。 ワイヤーたちが光りをうけ、光っていました。
心に光りをともしましょう。 それは、ちいさく儚いものではあるけれど、夢の世界を旅する少女の希望。 いつか望んだ世界に踏み出すための、夢見た現実を歩いていくための、希望。
コンテナショップの外で、実態のない少女がお待ちしております。 今から彼女と一緒に、みなさんは旅をしていきます。 小さな子が、あなたの分身・・・。
夏の開催でしたので、外からの強い光りを浴びてガラスの花器・ワイヤーがきれいに光りました。 きらめきは眩しく、自分でも想像していなかった世界ができあがりました。 植物たちの発色も鮮やかで、より幻想的な世界に仕上がったと思います。
ショップ前のベンチに二人。実態のない少女を置きました。 ぼんやりとなにかを待つように。 あなたが来てくれるのを待っているのか、それとも眠っているのか。 ワイヤーで編み込まれ、編み込まれしているけれど、その実態は透けて薄く・・・。 そこにいて、そこにいないもの。 だから、徐々に上半身が世界に溶けていきます。